サドル沼の根本原因　前乗りになるとサドル荷重になる話-琴サイブログ

2017/11/20

サドル沼の根本原因　前乗りになるとサドル荷重になる話

ロードバイクに乗り始めると、サドル沼という言葉をよく耳にします。「何を使っても痛い」「最初は良いかと思ったけど次第に悪くなる」など、沼から聞こえてくる悲痛な叫びは、枚挙に暇がありません。

しかし、逆に考えて、何に乗っても痛いというのであれば、それはサドルが原因では無い可能性があります。今回、管理人は試行錯誤を繰り返した結果、サドル沼解消の糸口を発見しました。今回はその過程について記していきたいと思います。

・日本人のサドルは前すぎるという話

まずきっかけとなったのは、海外の自転車ニュースサイトです。サドルの痛みに関して調べた所、その多くは擦れに関するもので、あの三角木馬じみた尻の痛みについて、詳しく解説している記事は、英語圏で１つもありませんでした。

これはつまり、ロードバイクの尻痛が日本人特有の問題であることを意味します。ある有名ブログでは、それについて「日本人のサドルは低すぎる」と述べていました。それは全くの間違いではありませんが、ちょっと違います。

何故なら、より重要なのはサドルの前後だからです。サドルは高くすれば後ろにも動きます。シート角にもよりますが、10cmシートポストを伸ばせば、サドルは３cm程後ろに下がるでしょう。そのために彼はこのような誤解をしてしまったのだと思います。

話を戻しまして、日本人（特に低身長）の乗るロードバイクはフレームサイズが小さいためシート角が標準より立ち気味になります。サドル～BBが600mmとして、シート角が１°立つごとに、サドルが約３cm前に出ると言えば、その影響がいかに大きいか分かるでしょうか。

つまり私達が普段、普通だと思っているサドル位置は、世界基準で見ると、前すぎるかもしれないという事です。次の項ではサドルの前後位置が荷重に与える影響を、簡単な実験で再現してみました。

・サドルに荷重が乗る理由

前乗りでサドルに荷重が乗る理由は、簡単な実験で証明できます。用意するのは椅子と雑誌と体重計の３つだけです。それらを組み合わせ、以下の図のような２つの実験を行いました。補足すると、椅子には深く腰掛けず、両足はかかとまで体重計に乗せ、脱力した状態で計測を行っています。図中で足の長さが変わっているのは仕様です。

実験２に関してはその方法上、完全に同じ高さを実現できなかった為、近しい高さで何回か測定し直しました。結果は変動しましたが、全て8～10の範囲に収まっています。この事からサドル位置が5cm前に出た場合、約３kgの荷重が追加でサドルにかかる事が分かりました。

体重から見るとそこまで大きな割合ではない様にも思えますが、中身入りのlペットボトル６本分の荷重と考えるとサドルの痛みにも中々納得の行く数字です。ステム長との兼ね合いが有るため、万人に効果のある対策かは分かりませんが、サドルを後ろに下げてみる価値は十分あるでしょう。後ろに下げた分はシートポストを短くすると乗りやすいと思います。

・それでも前乗りで走るためには

しかしプロの世界では近年前乗りが主流です。彼らは一体どのようにしてサドルの痛みを回避しているのでしょうか。その答えは３つありました。１つは速く走ることです。よくペダルに荷重を乗せるといいますが、重いギアで速く走れば、荷重は自然とペダルに乗ります。

そしてももう２つ目はハンドルに荷重を乗せることです。これに近いことをやっているのが、俗にいうヤマメ乗りでしょうか。そしてプロはその両方を使い分けることで荷重をコントロールします。これが３つ目です。

ですが、それらの技は一朝一夕で身につくものではありません。前乗りと後ろ乗り、どちらを取るかはあなたの自由ですが、何が目的なのかを今一度、考える必要が有ることは確かでしょう。